突然ですが、僕たちは今シベリアに来ています。
ポケモンを捕まえるために。
パチリスが欲しい!
見ての通り圧倒的にカワイイので、原作のプレイヤーからも人気の高いポケモンです。
11月下旬から妻 の実家に行くためにロシアに来ているのですが、そのついでに絶対パチリスをゲットしたいということで前々から考えていました。
僕たちは台湾でのイベントに参加して来たばかりですが、台湾はポケモンがなくても行きたい場所でした。
日本から近いし飛行機も安く、現地には友達もいるし、台湾料理も食べたい。
言うまでもなく、極寒です。
台湾で30℃超の中でポケモンをやり、今度は-18℃という、1ヶ月の間に気温差50℃を経験することになってしまいました。
エカテリンブルクの人には失礼ですが、「初めて、ポケモンのためだけに来たくもない場所に来てしまった」というのが到着した直後の僕たちの気持ちです。
今回の記事は、シベリアの大都市エカテリンブルクを舞台に3日間という限られた時間の中でパチリスを探し求めたその記録です。
最大の誤算
実は今回のロシア旅行には「パチリスを捕まえる」というミッションはあったものの、「シベリアに来る」という計画は全くありませんでした。
なぜなら行く予定だったモスクワでパチリスが出ると思っていたから。
このマップではロシア全域がパチリスの出現エリアになっています。
しかし、このマップは間違っていました。
詳しくSNSなどを調べてみると、どうやらパチリスはロシア、カナダの中でも北極に近いエリアでしか出ないという地域限定ポケモンでした。
とりあえず「ヴォルゴグラードに行く」という予定をキャンセルして急遽シベリアに行くことに。
(当初はヴォルゴグラードでこれを見たかった)
調べてみるとシベリア地方には、ロシア第3の都市、ノヴォシビルスクをはじめ、チェラビンスクやペルミなどいくつか都市がありますが、「エカテリンブルクでパチリスをゲットした」という情報をSNSで見たので、今回はエカテリンブルクに決定しました。
「シベリア」という言葉からは何もない荒涼な土地を想像しますが、
エカテリンブルクはかなりの都会で歴史もあるので、
きれいな街並みと建築物が見られます。
プレイ環境① SIMカード
今回のプレイ環境は、ロシアのSIMカードとdocomo海外オプションの併用という2段構えです。
ロシアのSIMカードは安くて簡単に手に入る反面、ショッピングモールなどの建物内はもちろん、道路なのに突然電波が悪くなるという不安定さがあります。
(特に大きい交差点では繋がらなくなったり、3G回線になってしまうことが多かったです。)
せっかくパチリスが出現しても、回線がつながらなくなってタイムロスしている間に消えてしまうという最悪の自体を防ぐために、
エカテリンブルクの3日間だけはdocomoの回線(かなり安定しているが1日980円かかる)も使うという万全の体制で臨みました。
プレイ環境② バッテリー
寒さによるポケモンGO最大の障壁はバッテリーの持ちの悪さです。
僕たちはスマホ4台のために10000mAhの充電器を3つ用意しています。
これだけあれば、ずっと外にいても4時間は活動できます。
また、ロシアに来る直前にiPhone3台のバッテリー交換を済ませてきました。
これは今振り返っても最高の判断だったと思います。
カフェで充電するためのセット
ポケモンGOを外でガッツリやるときはこの充電セットを携帯しています。
USBケーブルが6個使える優れものです。
立ち寄ったカフェなどのコンセントにつないで、少しでも充電します。
プレイ環境③ 防寒
-15℃以下というのは想像を絶する寒さです。
指先、足先はすぐに痛くなって来るし、まつ毛まで凍ります。
スキーウェアや登山用ウェアならどうにか耐えられると思いますが、
日本で手に入るほとんどのコートでは太刀打ちできません。
僕は、シベリア入り前にこの-30℃まで耐えられるらしいコートを急遽調達しました。
OSTIN(オースティン)というロシアのメーカーだったようです。
これはかなり暖かく、胴体だけは一度も寒いと思いませんでした。
シベリア到着後
11月29日の朝6時、エカテリンブルクに到着しました。
空港からタクシーで市内のホテルに向かう最中に早速、
いきなりパチリスの影を発見!
高速道路をわざわざ降りることになるため、タクシーに寄ってもらうわけには行かず、無念のスルー。
市内への移動中にもう1回影を見ました。
この短時間にこんなにいるなら結構ゲットできるはず。
そう思い、安心してホテルに向かいました。
しかし、この判断を僕たちは何度も後悔することになります。
1日目:地元を知る
とりあえず昼までゆっくり寝て、14時から行動開始。
作戦① 路面電車でGO
エカテリンブルクはメジャーな交通手段として路面電車があります。
路面電車にただただ乗り、パチリスの影が見えたら降りて捕まえに行くのを繰り返すという作戦をまずは取りました。
2時間経っても影が出ない・・・
「夜明け前には短時間に2回も影を見たのに、昼間は出にくいのかな?」
「市内より郊外の方が出るのかな?」
と色々な仮説が浮かびました。
路面電車はすきま風がかなり寒く居心地はよくないので、次なる作戦に移ります。
作戦② 地元プレーヤーを探す
1.SNSで地元プレーヤーに呼びかけ、直接会って交換してもらいまずは自分たちの図鑑分を確保。
2.その後地元のコミュニティに入り、どこで効率的にポケモンをやっているか、パチリスが捕まえやすいところがないかという情報収集をすることに決定。
3日間しかないので、現地の情報収集を初日にしておくことは必須です。
僕たちは台湾のイベントでゲットした『ジーランス』が主なレアポケモンです。
その他に、Nintendo Switchも持って来ているのでメルタンがゲットできる「ふしぎなはこ」をプレゼントすることもできます。
「パチリスとジーランスと交換したい」「メルタンのアイテムもあげるよ」ということをアピールして地元のトレーナーに呼びかけました。
電車を降りたあと、あまりの寒さでとりあえず近くのレストランに避難。
地元プレーヤーと野生パチリスを待ちます。
地元プレーヤー登場!
15歳の高校生プレーヤー、イリヤくんが最初に合流しました。
彼はなかなかいいヤツで、この後エカテリンブルクを案内してくれたり、一緒にパチリスを探しに外に出たりしてくれました。
結果的に彼とは3日間、どこかしらで毎日一緒にポケモンをやることになります。
堅物ロシア人、セルゲイ
2人目に現れたのはセルゲイという男性。
むっつりとしたカタブツ男で、僕たちが日本からやってきたというメッセージを”釣り”(ウソのメッセージ)じゃないかと一番疑っていました。
なんと無課金・GOプラスなしでレベル40&ゲット数9万を達成した地元のトッププレーヤーの一人です。
さらに話を聞いてみると、エカテリンブルクのポケGOコミュニティの管理人という重要人物でした。
僕たちが普段からチート行為をしていないかチェックしたりとしばらく疑いの目を向けられていましたが、
1時間ほど話していると打ち解けてきて、一緒にパチリスを捕まえに行ったりレイドバトルをしたりとかなり仲良くなれました。
あとでイリヤから、「僕たちの前では無表情だったけど、本当はジーランスをもらってめちゃくちゃ喜んでいた」と教えられました。
「パチリスをキラポケモンにしたい」と伝えると、持っていた十数体のパチリス全てを交換してくれたという優しい一面もありました。
僕は5体目で見事キラになりましたが、残念ながらは失敗。
他2名、地元のポケモントレーナーがやってきてトレードをしました。
「とりあえず自分たちの図鑑は埋める」という最低ラインはクリア!
野生のパチリスを1匹もゲットできなかったのはとても残念ですが、地元のコミュニティを見つけるという点では予想以上の収穫がありました。
「12月1日のコミュニティデイを一緒にやろう」という約束もしてこの日は解散となりました。
地元プレーヤーに聞いたシベリアでのやり方
初日に地元プレーヤーから仕入れた情報です。
①寒さは我慢!
札幌の中心部では地下通路が発達しているんですが、シベリアの大都市エカテリンブルクはそういう環境は一切ありません。
寒い土地ならではのライフハックがあるかと思いきや、ただモバイルバッテリーを使いながら歩くのみという至ってシンプルな回答がきました。
車がある人は車でやるけど、車を持っていない人は寒さを我慢して歩きまくるそうです。
そしてたまにカフェやバーガーキングで休むという感じです。
ただしコミュニティデイなど、あまり動かなくてもレアポケモンが大量ゲットできる時はショッピングモールなどでやることもあるそうです。
②Telegramというアプリが基本
エカテリンブルクのポケモントレーナー同士の交流はこのTelegramというアプリが基本でした。
ロシア版のLINEのようなアプリです。
Telegramの詳しい説明はこの記事では省略します。
ここでグループチャットに入り、市内のプレーヤーと連絡を取ることでトレードできました。
まずはvk(ロシアのFacebook)などのSNSでエカテリンブルクのロシア人と仲良くなり、その後Telegramのアカウントで友達になり、グループに招待してもらうという流れになります。
やりとりはもちろんロシア語です。
この時ほど、「ロシア人 と結婚してよかった」と思ったことはありません(笑)
2日目:ありとあらゆる手段を尽くす
この日は朝10時から2時間ほどの路面電車作戦、その後Telegramでパチリスの目撃情報を片っ端から地元のトレーナーに教えてもらい、近い場所にはタクシーで向かうという作戦に変更。
目撃情報がない時は、「パチリスがよく出る」という情報があったショッピングモールや公園などで待機したり、
地元プレーヤーに聞いたポケストップ3つに届くカフェでずっとモジュールを置いて待ったりと、
考えられる限りのあらゆる手段を尽くしました。
午後2時頃、ジーランスをもらいにやってきた地元トレーナーから目撃情報があり、現場はすぐ近くだったので猛ダッシュ!
見事に野生のパチリスをゲットすることができました。
この1匹以外は、目撃情報を聞いて駆けつけても結局間に合うことはなく、パチリスがよく出るというエリアにも出現しませんでした。
2日目の夜
「車に乗せてくれる人に最優先でジーランスをあげたい」というメッセージを送ったところ、乗せてくれることになったアントンという男性とその息子と合流。
なんとインドでコータスを捕まえてきたというツワモノ。
<↑コータスはインドや東南アジア限定のポケモン>
さらに彼は、昔はingressのトッププレイヤーでもあり、メダルの1つは世界最速でゲットしたというすごい人でした。
そんなアントンに乗せてもらい、2時間ほどパチリスを探してエカテリンブルク市内を駆け回りました。
めちゃくちゃ親切なアントンは、わざとパチリスやミニリュウなどをゲットしていないレアポケモン探知用アカウントまで用意してくれていました。
(↑ゲットしていないポケモンは少し遠くても優先的に影が表示されるシステムを利用)
出ない・・・
2時間ノンストップで中心部から郊外まで探索しても影が見つかりません。
「空港から向かう途中の郊外のポケストップで見た」と伝えると、車から降りてこんな林道のポケストップまで探してくれるアントン。
「このままゲットできないと、自分たちはともかくアントンと付き合わされた息子が可哀想すぎる・・・・」
と、もはやアントンの心配をし始めると、、
リューのアカウントにパチリスが出現!
ずっと焚いていたお香で出現しました。
お香という、もはやアントンには関係のないところで出てしまいましたが、アントンがいないとここまで長時間粘ることもありませんでした。
どうにか車内は和やかな雰囲気になってこの日は終了となりました。
3日目:絶対にもう1匹ゲットする
この日は12月1日のコミュニティデイ初日、朝から野生ポケモンのほとんどがコミュニティデイ用ポケモンになっています。
そのおかげで当然パチリスはさらに出にくくなったはず。
コミュニティデイがこれほど邪魔だと思ったことはありません。
とりあえずコミュニティデイを楽しむために、イリヤやなど地元のトレーナーたちと一緒に大きい公園に行き、寒くなったらカフェで休むということを繰り返しながら過ごしました。
僕たちがSwitchを持ってきているという情報も出回り、メルタン欲しさに集まった地元ポケモントレーナーでカフェがごった返しました。
エカテリンブルクにメルタンをもたらした日本人として語り継がれているかもしれません(笑)
夜には、またもアントンが車に乗せてくれて2時間ほどパチリス探し。
しかしお香でもモジュールでもパチリスが出現することはありませんでした。
残念な気持ちで夕食を食べたあと、ふとアントンが貸してくれた探知用アカウントを見てみると。
パチリスの影が!!
300メートルほど離れたポケストップにいるようで、猛ダッシュ!
吐きそうになりながらもなんとか間に合い、無事ゲット。
『エカテリンブルクの歓喜』
これは完全にアントンのおかげで、最後の最後に1匹を捕獲することができました。
エカテリンブルクを出発するフライトは翌朝5時半。
これで僕たちの3日間のパチリス探しのシベリア旅は終了となりました。
まとめ①:今回の成果
パチリス捕獲というソフトの難易度の他に”スマホ本体”というハードウェア部分での難易度、さらに”人間本体”というハードウェアへの難易度も相まって、今までのポケモンGOで一番過酷なプレイ環境となりました。
パチリスを探すためにいろいろな方法で丸3日間、
単純にパチリスを探すためだけのプレイ時間だけでも合計20時間は費やして、初日から地元のネットワークをフル活用しましたが、
ゲットできた野生のパチリスは1アカウント2匹+おこうの1匹だけでした。
2018年12月1日現在、エカテリンブルクでのパチリスの出やすさは
”本気で探しても1日1匹捕まえられるかどうか”というくらいのレア度です。
地元の人の口コミなどをもとに僕たちが考えられるありとあらゆる手段でパチリスを探した結果、
「今のところ”パチリスが出やすい場所”というものはない」
という結論に至りました。
もちろん、出現率が今後上がっていくことも十分ありえます。
しかし、今はパチリスを捕まえるためだけにわざわざエカテリンブルクに来るのはあまり他の人にはオススメできません。
横須賀や台湾のように近場で大量ゲットできるイベントを待つ方がいいと思います。
まとめ②:エカテリンブルクの人の優しさ
今までは知り合いがいない街での旅行は漫然と観光してどこかでダレる部分もあったんですが、今回は全くそうなりませんでした。
それは初日からずっと地元の人と過ごすことができたおかげだと思っています。
「次にこれをしようよ」「あそこに行こうよ」と、地元のみんなにリードしてもらうことで、”次にどうしたらいいか”と、2人だけでムダに悩む時間が圧縮されていたことに気づきました。
パチリスは思ったようにゲットできなかったけど、3日間ずっと充実していたし、全くムダな時間がなかったという清々しい気持ちでいます。
そして今回なにより感じたのは、エカテリンブルクの人たちはメチャメチャ優しいということです。
初日に会った人とは3日間ずっと会いましたし、アントンは見ず知らずの僕たちを2日も車に乗せてくれました。
3日間しかいなかった上に、ポケモントレーナーにしか会わなかったため、
エカテリンブルクの人が優しいのか、ポケモントレーナーが熱い人ばかりなのかはわかりません(笑)
パチリスのあまりの出にくさに何度も心を折られましたが、出にくいからこそ地元のコミュニティに飛び込む必要がありましたし、
その結果、たくさんの友達ができました。
他の人には全くオススメできない不器用で非効率なやり方ですが、エカテリンブルクでのポケモンGOは最高に楽しかったです。
今までポケモンGOをやってきてよかった!と心から思うことができました。