はじめに
実写版『東京喰種 トーキョーグール』を初日で鑑賞してきたので、原作ファンとしての視点からレビューしてみました。
『東京喰種』は、続編の『:re』も含めて全巻持っていますし、もちろんヤングジャンプも毎週読んでいます。
アニメ版は観たことがありません。
ということで、原作ファンとしてのレベルはそこそこだと自負しています。
それでは早速レビューしたいと思います。
※キャストの敬称は省略します。
ストーリー
ストーリーは原作だと1〜3巻までの部分です。
2時間という尺の中にきっちり納めるために削られたり改変されたシーンもいくつかありますが、原作を台無しにすることなく展開していてよかったです。
実写版『東京喰種』の3つの魅力
ここからは、映画を観て発見した3つの魅力をご紹介したいと思います。
①原作へのリスペクト
全編を通して原作へのリスペクトが感じられて、原作ファンとしてはとても感動しました。
初期の『東京喰種』の陰鬱な感じとグロテスクさがすごく忠実に再現されています。
漫画の実写化は”原作レイプ”とも言われるような作品が多い中で、この忠実さは本当に素晴らしいの一言です。
萩原健太郎監督のことはほとんど知りませんでしたが、この監督はきっと原作そして作者をすごくリスペクトして作ったのではないかと思っています。
この作品を観て一番喜んでいるのは作者の石田スイ先生かもしれません。
とにかく丁寧に作り込まれている印象を受けます。
②映画ならではの表現
同じシーンでも映画になるとマンガとは表現が全く違う箇所もあります。
個人的に『東京喰種』は金木のモノローグ(一人のセリフ)が重要だと思っていたので、心の声や独白をどう表現するのかなというのがすごく気になっていました。
映画ではなんとそれが一切なかったんですが、意外なことにそれがなくてもストーリーが成立するということに驚きました。
モノローグなしでも場面を成立させてしまう窪田正孝の表現力もすごいです。
削るばかりでなく、逆に原作よりも時間をかけたり丁寧に描写しているシーンもありました。
とくに空腹に苦しむ金木のシーンは原作よりも丁寧だったので感情移入しやすかったです。
また、リゼのエロさと狂気が原作以上にしっかりと描写されていたのが印象的です。
リゼ(蒼井優)と金木(窪田正孝)のシーンには、原作にはない色気がありました。
このシーンの蒼井優だけでも、お金を払って観る価値はあります。
③キャスティングが絶妙
今回の『東京喰種』はとにかくキャスティングが最高でした。
主人公:金木研役の窪田正孝はもちろん、店長役の村井國夫とリゼ役の蒼井優は原作のキャラそのものというくらいハマっていました。
大泉洋に至っては、原作以上に真戸らしかったです。
僕は実写化と聞いたときすごく嫌な予感がしていましたが、この大泉洋の写真を見てすぐに映画館に行こうと思いました(笑)
(真戸呉緒を演じる大泉洋)
唯一の欠点
強いて欠点を挙げるとすれば、グロテスクな描写が多くストーリーも陰惨なので、『東京喰種』を知らない人・興味がない人にはあまりオススメができない所でしょうか。
かなり好き嫌いが分かれる映画だと思うので、知らない人にわざわざオススメはできません。
「万人ウケは難しいだろうなー」と思いながらずっと観ていました。
あとは”ヒナミのノート”が省略されてしまっていたのが少し残念でした。
(ヒナミのノートは個人的に作中最強の泣けるシーン)
このシーンは実写版の楽しみの一つでしたが、残念ながら描写されませんでした。
でも、こんな小道具の一つくらいしか欠点が挙げられないほどの素晴らしい再現度でした。
まとめ
とにかく丁寧に原作に向き合ってくれた映画だと思います。
原作のファンの方には、観て損はないと断言できます。
“あんていく”(舞台になる喫茶店)の空気感や”赫子(かぐね)”の質感など、原作では伝わりきらなかった部分を補完してくれるような素晴らしい作品です。
あとこれは完全に勘ですが、ヨーロッパの人が好きそうな雰囲気の映画です。
そのうち海外の映画賞をいくつか取るんじゃないかなと勝手に予想しています。
以上、原作ファンによる実写版『東京喰種』のレビューでした。
原作を知らないロシア人のレビューも近日アップしたいと思いますのでお楽しみに!
追記:原作と映画のどちらを先に見ようか迷っている人へ
友達から「映画観ようと思っているんだけど、先に原作読んだ方がいいの?」という質問をもらいました。
僕の意見は、
「ストーリーを全く知らないなら映画を先に観た方がいい」
と思います。
というのも、原作を読んでストーリーを知っていると映画を観ていてハラハラドキドキできないという最大のデメリットが生まれてしまいます。
ストーリーを全く知らない状態なら、映画を先に観てから原作を読むほうが楽しさの総量が大きくなるような気がします。